さまさんの日常

気ままな、ひとりごと。

父とカムイのこと

 

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8年前の3月、東北の震災が起こった直後に父の病が判明しました。末期の肺がん肉腫との診断で、本人も周りの人間もぼんやりと実感の無いまま病気はどんどん進行し、4ヶ月後に父は旅立ってしまいました。

 

父が居なくなってからしばらくは1週間おきに週末は母と実家で過ごしていました。あの日も重い足どりで自宅に帰る途中、10メートル位前からニコニコ顔の野球小僧が近づいて来ました。

当時小学6年生の次男坊でした。そろそろ私が帰って来る時間かなと思い、家の側で待っていたんだそう。泥だらけの縦縞ユニフォームと汗塩の吹いた帽子に、沈んでいた気持ちが少し上向きになったのを覚えています。

明日は月曜日、切り替えてがんばるべー。

晩ごはんは何にしよっか?2人で話しながら家に向かって歩き始めたその時。

どこからか泣き疲れて掠れた、悲しげな鳴き声が聞こえて来たのでした。

2人で辺りを探すと、植え込みの中に大きな耳が目立つ茶トラの子猫が…

 

当時家にはお年寄り猫兄妹の「いたたい」と「ぐにゃ」が居たのですが、涙と目やにで汚れた子猫の顔を見た瞬間このチビっ子はうちの子だ!と決めていました。

 

カムイ、カムたんなど色々な名前で呼ばれていますが実は「可夢偉」なんです(笑)

命名したのは当時中二だったデカ長男。F1レーサーの小林可夢偉さんから頂きました。…いかにも?彼らしい命名だ(笑)

先住猫の2匹はかなり迷惑だった様でしたが(ごめんね…いたたい&ぐにゃ…)早々に我が家と馴染んだチビ猫カムイは、ずっと沈みがちだった我が家を明るくしてくれました。

カムイ1番の仲良しはチビ次男坊。彼が帰宅して横になると、即!お腹の上に乗り、股間方面を向いて香箱体勢になります。

私の帰宅時は玄関までお迎えに出てこない事が多いのですが、チビ次男坊が帰ってくるとどんなに眠くても玄関までお迎えに行き、トイレまで同伴します。その姿を見て夫「カムイはジィ(私の父)の生まれ変わりだもんな!」

…そう言われてみれば確かに…

父とチビ次男坊は本当に仲良しでした。

デカ長男は初孫と言うこともあり、大事に大事に扱う愛し方でしたがチビ次男坊はまた特別な可愛がり方でした。父も次男坊だったので次男坊同士、特別な何かがあったのかも知れません。父の葬儀の時誰よりも激しく泣いていたのはチビ次男坊でした。

 

亡くなって8年も過ぎたのに、まだ父がどこかに居るんじゃないか、そのうちひょっこり帰って来るんじゃないのかな?と待っている部分がずっと心の片隅にありました。

カムイの中に父が居るのかも…と思うようになってから、あの東日本大震災の哀しみとセットになっていた悲しい気持ちが少し楽になりました。…実家の母の所じゃなくて、孫と娘のいるこっちに来たのが父らしいと言えば父らしい(笑)

でも!たまには母の所にも行ってよね!…なんて思ったり。